清水農園の野菜を作るこだわり

元々は普通に農薬と化学肥料を使った栽培(慣行栽培とよばれています)をしていまし た。農業を始めて数年経った頃、土壌消毒作業で薬剤を土の中に注入する作業をしていた とき、誤って自分の足に薬液をかけてしまいました。その直後は何でもなかったのですが、 当日の夜にはただれてしまい農薬の怖さを自らの身をもって知ることになりました。

これを機に農薬を使わない栽培をするにはどうしたらよいのかを模索するようになりま した。始めはやみくもに堆肥を入れれば良いとばかりに、大量に投入してみたものの見事 失敗。それだけでは上手くいかないと知ったので、色々な勉強会に出席するようになりました。

有機農業が運動として始まったのが 70 年代から始まったそうです。僕が有機農業に取 り組み始めたのは 90 年代に入ってからのことです。現在ほど科学的なアプローチもなく、 経験とカンに頼った有機農業だったように思います。なので、虫が食べるほど美味しいの が有機農産物だと言わんばかりのものが多かったようです。

実際自分で作っていても、堆 肥が入っていれば野菜は勝手に育つとばかりに、虫食いが多い野菜を作っていました。そ の頃に微生物農法を知った僕は、これで何とかなるのではないかと取り組み始めました。 特に注目したのは、嫌気性微生物です。始めは、ラクトバチルスや乳酸菌に始まり、EM菌を知るようになった時、自分で培養できる EM 菌に魅力を感じ現在に至っています。使 い方は当初からすると、基本的なことは変わらないものの、年を追うごとにより進化した 方法が採れるようになっています。

 

この EM 菌に並行して、ジャパンバイオファームの代表である小祝政明氏の BLOF 理論 を導入しています。こちらは、経験とカンに頼りがちだった有機農業に、科学的アプロー チを加え再現性があり、植物生理学の裏付けを元にした栽培理論で、新しい有機農業が実 践出来るようになっています。僕の場合、オリジナルで EM 菌を使ったぼかし肥料(醗酵 肥料)を作り、このぼかし肥料を中心に、BLOF 理論にて必要とされる微量要素と炭素を しっかり含んだ堆肥を使って、昔のような虫の害が多い野菜ではなく、有機栽培で虫食い の少ない機能性のある野菜作りを心がけています。
さらに最近はバイオシュティミュラント資材を使っています。
常に上方のアップデートは欠かせないので、従来からの方法に固執することなく良いところは積極的に取り入れています。

野菜栽培にはこれで終わりと言うことはないと思っているので、今後に向けてさらによ う方法があれば、今までの経験を踏まえて実践していこうと考えています。

一般的には、現在僕が行っている農法は、いわゆる有機農法といわれるものです。ただ し、現在の法律からすると、JAS 認定を取得しなければ有機農産物とよぶことは出来ませ ん。JAS 認定を取得するには、畑ごとに認定が必要で、一認定にかかる費用は数十万円に なるので、小面積で各地に分散している農地を持っている農家にとって、認定を取得する だけで、取得する畑の枚数が多くなるほど認定費用が膨らみます。

よって、JAS 認定の取得はしておりません。しかし、農薬散布の真っ先の被害者になる のは自分自身なのは身をもって体験しています。当時、経皮毒という言葉は余り知られて いませんでしたが、自分の体験を元に色々調べるうちに、経口より皮膚からの方が化学物 質である農薬の成分が体内に容易に入ってくることを知りました。それ故、僕が有機農法 を実践する理由は、他ならぬ自分のためです。さらには、普段自分で作った野菜を食べる のですから、やはり農薬のかかった野菜は避けたいと考えました。ですので、無農薬を続けるのは、自分のためであり、ひいては食べる人のためになると信じています。

世の中には、何々農法とよばれるものが数多あります。僕自身 EM を中心に使っていま すが、EM 農法というつもりはありません。他に良いものがあればそれを使う事に対して 抵抗はありません。ただ経営が前提なので、コストパフォーマンスが良い事が重要です。

僕にとっては、今の組み合わせがベターだと考えています。 この農法だから良くて、他の農法はダメだというつもりはありません。僕が目指すのは、作る人にとっても健康によく、ひいては食べる人にとっても美味しくて健康になれる野菜 作りを目指しています。基本的には、僕等作る人は食べる人のためにあるという気持ちで 作っています。

これに賛同できるという人とつながることが出来れば幸いです。